言葉が頭の中でぐるぐる巡る(=反芻)のはなぜ?対処法は?

ぐるぐる何回も同じことを考えてしまうことってありませんか?
例えば・・・

  • 友達に言われた「愛想がない」という言葉を何度も思い出してしまう
  • あれはどういう意味だろう?とお風呂で考えてしまう
  • 彼女に「あなたは人の気持ちがわからない」と言われたのを考えて寝れない
  • 上司から「期待してるよ」と言われたけど何に対して?などと何度も繰り返し考えてしまう

これを「反芻(はんすう)」と言います。

牛などの偶蹄目(蹄が2つに割れている)は、
胃を複数個持っているんですけど、
食べた草やわらを胃に送ってはまた口に戻し
何度も噛んで胃に送って口に戻して噛んで…というふうに消化していきます。

反芻思考とは、この牛などの反芻になぞらえて
一度飲み込んだ言葉をまた頭に思い浮かべて
意味を考えたり悩んだり…
というふうに
いろんな感情を湧き上がらせてしまうことを言います。

反芻のしんどさ

反芻のどういったところが問題なのか?というと

  • 思い出している間他のことが考えられない
  • ぐるぐる考えているうちに眠れなくなる
  • 胸のあたりがモヤモヤして苦しくなる
  • 結局考えたところで発言した当人しか真意がわからない

といった具合に、反芻思考が習慣化してしまうことで、
QOL(クオリティオブライフ=生活の質)が下がってしまうことにあります。

関連する発達障害の特性

ではなぜ反芻して考えてしまうのか?
ということなんですけども、
理由は3つあります。

理由1:言語性IQが低い

言語処理が遅い
発達障害の人の中には言語性IQが高いタイプ低いタイプがいます。
(自分がどちらのタイプか?は私のLINEマガジン登録特典の無料プレゼントで診断できます)
言語性IQが低いと、

  • モノやヒトの名前を覚えられなかったり
  • 国語の読解問題が全然できなかったり
  • 作文が苦手だったり
  • 要約やまとめがちゃんと整理してまとめられなかったり

という傾向が強くなってきます。
こういった特徴があると相手の会話を聞いていても、
何を言いたいのか?その要旨を理解できないんですね。

細かい特性でいうと、「会話の中で細かいところがいちいち気になってしまう」
というのも自閉症/アスペルガーともによくあります。
その細かいところ…
例えば、
「電車でさー、子どもが靴を脱がずに椅子に立っててさー
それをお母さんが全く注意しなかったんだよー有り得なくない?!」
みたいなことを言われた時に
何の電車だろう?阪急かな?JRかな?
みたいなことを気にしてしまうわけですね。
細かいところに引っかかっているうちに会話はどんどん先へ進んでいってしまいます。

理由2:感情のラベリングができない

発達障害の人は、
感情のラベリングができないという問題も抱えています。
感情それ自体というのは、「違和感」とか「モヤモヤ」とか
「なんか胸の辺りが暖かい感じがする」とかそんなもんです。

それらのちょっとした“感覚”に対して、私たち「感情」というラベルを貼って、
心のどこかに格納しています。

『このモヤモヤは「怒り」とラベリングしよう』
『この温かみは「喜こび」とラベリングしよう』

みたいな感じですね。

ラベリングがうまくできないとどうなるか?

で、この感情のラベリングがしっかりできていないと、
それぞれの“感覚” を格納することができません。
散らかったままになってしまうわけですね。

部屋の片付けの例で言うとわかりやすいかもしれません。

片付いていないものって、生活してると
何回も目につく
じゃないですか。
「ああ、この封筒、どうしようかな?どこに片付けよう・・・」
「思いつかないからとりあえず放置だな・・・」

みたいな感じで、何回も何回も頭に思い浮かべているわけです。

感情のラベリングがうまくできないと、
散らかった“感覚” が何回も目につきます。
「あれ、この感覚って何だっけ?」
と何回も反芻してしまうわけですね。

感情をラベリングするには、言語性IQの高さも必要ですが、
何より感情に名づけるには
「決めつける」ということが大切です。

ASDの人、中でも自閉症よりの人は「決めつける」機能が著しく弱いことが多いです。
※決めつけ力についてはもう1記事必要になるレベルで言うべきことがあるので
また改めて書くことにします。

理由3:質問は悪だという思い込み

この「理由3:質問は悪だという思い込み」は特性のせいというよりは、
経験の積み重ねによります。
咄嗟に聞き返せない
この図のような感じで、何か言われた時に
咄嗟に言い返せないっていうのがよくあります。

よくわからない言葉について「どういう意味ですか?」
と即座に聞き返すことができていたら、
相手がその言葉について

「こういう意味だったんだよ」

と説明してくれて、
「ああ、そういうことだったのね」
と納得できるはずです。
納得さえその場ですることができていれば反芻思考に陥ることはないんですね。
即聞き返そう

ただこの時に、

  • 「質問したら知識がないとか思われないか?」
  • 「理解力がないって思われるかも…」
  • 「あれ、これってもしかして常識なのかな?」
  • 「こんなところで疑問に思うの私だけかな?」

というように、聞き返すことへのためらいが生じます。

これは考え方の根っこに、
質問=悪
という意識(=観念)があったり

極度に会話に恐れや不安を抱いていて、「緊張」してしまっている可能性があります。

※緊張や観念についての解決法は以下の記事で紹介しています。
発達障害が陥りやすいコミュニケーションにおける緊張状態の解除法

反芻思考に陥らないための4つの対策

ここまでで、反芻思考になる理由について大体わかってきたかなと思います。

ではそうならないためにどういった対策があるのか?
についてお話ししていきたいと思います。

①感情をラベリングする(どう感じているかに集中する)
②その場で可能な限り聞き返す
③思い浮かんだ時に相手の意図を考えない
④俯瞰する

の4つが有ります。
それぞれ説明していきましょう。

①感情をラベリングする
自分の感じている“感覚” に名前をつけて、カテゴライズしていきましょう。
その時、「これは怒りかな?」という正解を探すような考え方ではなく
「これはもう怒り、ということにしよう!」
決めつけてしまうのがポイントです。
自分の中での「怒り」で大丈夫です。
それだけで整理して格納することができるのでだいぶ反芻はマシになるはずです。

ポイントその壱

感情のラベリングでは「決めつけ」が大事

②その場で可能な限り聞き返す
少し抵抗があるかもしれませんが、
できる限りその場で相手の意図を確認する癖をつけましょう。
もしその場で意図を確認できなければ、もう一生相手の意図については
考えることができない
という自分ルールを作るのもオススメです。
反芻に陥った時に「聞けなかったんだから相手の意図については考えちゃダメ!」
というふうに考えることができてぐるぐるしなくなります。

ポイントその弍

聞き返せるチャンスは唯一その場のみ!

③思い浮かんだ時に相手の意図を考えない
これは②とも連動していますが、
反芻してしまうことはどうしてもゼロにはなりません。
この時の考え方として、考えてもわからないことを考えない
というのが大切です。
自分の感情って何だろう?とかなら自分でわかるかもしれませんが
相手の考えや意味したこと、意図などについては聞かない限り
絶対にわからない
ことです。
それを考えないようにするだけでも全然負担が違ってきますので
試してみてください。

ポイントその参

考えてもわからないことは断固として考えない

④俯瞰する
最後が、「俯瞰する」です。
色々反芻思考について知ってくると
「ああ、また反芻思考しちゃった・・・・」という
自分への否定ニュアンスが入った考え方が出てきてしまいます。
この時に俯瞰して
「ああ、今反芻思考してるなぁ〜」
もう一人の自分がテレビの中の自分を見てるように、眺めるようにします。
この時に、ダメだとか否定ニュアンスを入れず、ただありのまま受け入れるようにしてみます。
そうすると、ふっと気持ちが楽になってくるかと思います。
最初は難しいと思いますが、意識するだけでも大丈夫です。

ポイントその肆

できなくても否定しない。

まとめ

今回は何回もぐるぐる考えを巡らせてしまう「反芻思考」について、
その原因と関連する発達障害特性、対策についてお伝えしました。
今回の内容があなたのQOLを上げるきっかけとなれば幸いです。

最後までお読みいただきありがとうございました。