近年、ストレス社会の救世主として注目を集めているマインドフルネス。
瞑想(めいそう)の一種であり、今この瞬間に意識を向けることで、
心と体をリラックスさせる効果が期待できます。
マインドフルネスは、難しい修行みたいなものではありません。
簡単なところで言えば、呼吸に意識を集中するだけでもマインドフルネスなんです。
雑念が浮かんでも、そっと意識を呼吸に戻すだけ。
特別な場所や時間帯を設けなくても、
日常生活の中で簡単に実践できます。
マインドフルネスと発達障害
「発達障害とマインドフルネスの相性ってどうなん??」
って思うかもしれませんね。
マインドフルネスは、発達障害を持つ方にも有効と言われています。
発達障害の方は、不安や集中力の欠如などの症状を抱えていることが少なくありません。
マインドフルネスは、こうした症状を軽減し、心の安定をもたらす可能性を秘めています。
マインドフルネスは、子どもから大人まで誰もが取り組める心のトレーニングです。
忙しい現代社会を生きる私たちにとって、
心身の健康を維持するための大切なツールと言えるでしょう。
発達障害のどんなところに有効なの?
発達障害とマインドフルネスの関係について、
もう少し詳しく見ていきましょう。
発達障害の人は、ASD/ADHDともに障害特性というものがあり、
ADHDであれば「注意・集中の維持が難しい」、「衝動性・多動性が高い」
ASDであれば「不安により集中できない」、「自己受容に困難がある」、「ストレスに弱い」
などの特性による生きづらさがあったりします。
こういった特性への対処法として、
マインドフルネスはめちゃくちゃ高相性だったりするのです。
発達障害におけるマインドフルネスの効果
- 不安や集中力の欠如の軽減 マインドフルネスは、今この瞬間に意識を向けることで、過度な未来への不安や過去の後悔にとらわれることを防ぎます。集中力を高め、目の前のことに集中しやすくなります。
- 衝動性の抑制 マインドフルネスは、自分の感情や思考を客観的に観察することを可能にします。衝動的に行動する前に、立ち止まって考えることができるようになり、適切な行動を選択しやすくなります。
- 自己受容の促進 マインドフルネスは、自分自身のありのままを受け入れることを促します。発達障害の特性に囚われず、自分自身を肯定的に捉えることができるようになります。
- ストレスへの対処 マインドフルネスは、ストレスへの対処能力を高めます。ストレスを感じた時に、上手にリラックスし、気持ちを落ち着かせることができるようになります。
発達障害の方がマインドフルネスに取り組むメリットは、上記以外にもたくさんあります。
マインドフルネスは、発達障害の特性を克服するものではありません。しかし、症状を軽減し、日常生活をより快適に過ごすための有効な手段となるでしょう。
発達障害を持つ方にとって、マインドフルネスは、心身の健康を維持するための大切なツールと言えるでしょう。
発達障害の人がマインドフルネスに取り組む7つのメリット
ストレスの軽減
発達障害を持つ人々は、日常生活で多くのストレスに直面することが多いです。
マインドフルネスは、ストレスを和らげ、心の平穏を保つための有効な手段です。
例えば、呼吸に集中するだけで、緊張した気持ちが和らぎます。
注意力の向上
マインドフルネスは、集中力を高める効果があります。
発達障害を持つ人は注意散漫になりやすいですが、
マインドフルネスの練習を通じて、
今この瞬間に集中する能力を鍛えることができます。
感情のコントロール
感情の波に飲み込まれやすい人も、マインドフルネスを取り入れることで、
感情を冷静に観察し、適切に対処するスキルを身につけられます。
例えば、怒りや悲しみを感じたとき、その感情を一歩引いて観察することで、冷静さを保てます。
自己認識の向上
自分の思考や感情に注意を向けることで、自己理解が深まります。
発達障害を持つ人は、自己理解・他者理解が難しい面がありますが
これらをしっかり分離し、自分と他人との境界線がハッキリしてくることにより
自己肯定感を高めることができます。
社交スキルの改善
マインドフルネスは、他人とのコミュニケーションを
円滑にする助けにもなります。
人との会話中に注意を向けることで、相手の話をしっかりと聞き、
適切な応答ができるようになります。
睡眠の質向上
不安やストレスが原因で睡眠に問題を抱えている人も、
マインドフルネスの練習を通じて、リラックスした状態を保ちやすくなります。
寝る前にマインドフルネスを行うことで、ぐっすり眠ることができます。
睡眠を適切に取ることで、「感覚情報」「記憶」の整理が捗るため
イライラしたり、かんしゃくやパニック、フリーズ現象を抑えることができます。
感覚過敏と睡眠の関係性は↓の記事で詳しく解説しています。
【発達障害と感覚過敏】なぜ感覚刺激の辛さが状況で変わるのか?
生産性の向上
集中力が高まり、感情のコントロールができるようになると、
仕事や学業のパフォーマンスも向上します。
マインドフルネスは、日々のタスクを効率よくこなす力を養います。
一人でもできるマインドフルネスのやり方
マインドフルネスは、特別な場所や道具がなくても、一人で簡単に始められるのが魅力です。
ここでは、日常生活に取り入れやすい方法をいくつか紹介します。
呼吸に集中する
まずは、静かな場所でリラックスして座りましょう。
目を閉じて、ゆっくりと深呼吸をします。
このとき、呼吸に全神経を集中させることがポイントです。
息を吸うときと吐くときの感覚を意識することで、心が落ち着きます。
想像するのが難しい発達障害の人でも、
呼吸が入って出ていく感じを感じるだけなので簡単にできます。
ボディスキャン
仰向けに寝て、頭の先から足の先まで、順番に体の感覚に意識を向けます。
筋肉の緊張やリラックス感、体の温かさや冷たさなどを感じ取りましょう。
これにより、自分の体と心の状態を把握しやすくなります。
余計なことをグルグルと考えてしまう悪循環も
これをすることで断ち切れることがあります。
マインドフルウォーキング
散歩をするときに、足元や周りの景色に意識を集中させることで、
マインドフルネスを実践できます。
歩くリズムや足が地面に触れる感覚、風の音や木々の揺れなどを感じることで、
日常の散歩が心地よい瞑想の時間に変わります。
食事のマインドフルネス
食事をする際に、一口ごとに食べ物の味や食感、香りに意識を向けることで、
食べること自体がマインドフルネスの練習になります。
ゆっくりと咀嚼し、食べ物の美味しさをじっくり味わいましょう。
日記を書く
毎日の出来事や感じたことを日記に書くことで、自分の感情や思考を整理することができます。
特に感謝していることや嬉しかったことを書き出すと、ポジティブな気持ちになりやすくなります。
マインドフルネスアプリを活用する
スマホのマインドフルネスアプリを利用するのも良い方法です。
ガイド付きの瞑想やリラクゼーション音楽など、多彩なコンテンツが揃っているので、
自分に合ったものを選んで実践できます。
習慣化もしやすい工夫が施されているので
(時間になったらリマインダが鳴ったりするなど)、
すぐ飽きやすいADHDでも習慣にしやすいです。
日本で主要なマインドフルネスアプリには次のようなものがあります。
ヘルスケア (Apple Health)
瞑想とリラクゼーション 短時間でできる瞑想やリラクゼーションのエクササイズが豊富。
統合機能 Apple Watchと連携して、心拍数や睡眠データも管理可能。
簡単なインターフェース 初心者でも使いやすいシンプルなデザイン。
メディトピア (Meditopia)
豊富なコンテンツ 瞑想、睡眠、ストレス解消など様々な目的に応じたコンテンツが充実。
日本語対応 日本語でのガイド付き瞑想が多く、使いやすい。
コミュニティ機能 瞑想を通じて他のユーザーとつながることができる。
クラム (Calm)
睡眠ストーリー 日本語での睡眠ストーリーがあり、リラックスして眠れる。
ガイド付き瞑想 日本語のガイド付き瞑想が多く、初心者から上級者まで対応。
リラクゼーション音 日本語でのリラクゼーション音楽や自然音が揃っています。
瞑想時間を固定する
毎日同じ時間に瞑想をする習慣をつけると、マインドフルネスをより効果的に取り入れることができます。
例えば、朝起きてすぐや寝る前の時間を使って、5分から10分の短い時間でも継続することが大切です。
これらの方法を試しながら、自分なりの生活に沿わせたマインドフルネスのやり方
を見つけてください。
日常生活に取り入れることで、抵抗なく継続しやすくなります。
日常生活に取り入れるマインドフルネス
わざわざ時間をとるのは大変…
忙しい日常生活の中で、マインドフルネスを実践する時間を確保するのは難しいことがあります。
しかし、マインドフルネスは特別な時間を取らなくても、
普段の生活の中で取り入れることができます。
日常生活で実行できるマインドフルネス
普段の生活の中で簡単に取り入れられるマインドフルネスの方法
をいくつか紹介します。
1. 呼吸に意識を向ける
車の運転中や家事をしているときに、意識的に呼吸に集中するだけで、
リラックス効果を得られます。
例えば、料理をしているときに、深く息を吸って、ゆっくり吐き出すことを心がけると、
気持ちが落ち着きます。
2. 感謝の気持ちを持つ
毎日のちょっとした出来事に感謝することで、ポジティブな気持ちを保つことができます。
例えば、朝起きたときに「今日も一日頑張ろう」と自分に言い聞かせたり、
家族と過ごす時間に感謝の気持ちを持つことが役立ちます。
3. 短い瞑想を取り入れる
数分間の簡単な瞑想を日常に組み込むだけで、心の安定を図ることができます。
たとえば、朝のコーヒーを飲むときや、
昼休みの短い時間に静かな場所で深呼吸をするだけでも効果があります。
4. 意識的な食事
食事の際に、食べ物の味や食感に集中することで、
食事をより楽しむことができます。例えば、食事中はスマートフォンを置いて、
目の前の食べ物に集中してみましょう。
5. 運動をマインドフルに
ウォーキングやジョギングなどの運動をするときに、
その動作や周囲の風景に意識を向けることで、
運動がよりリラックスした時間になります。
まとめ
今回はマインドフルネスと発達障害への有効性、メリットについて。
また、
一人でできるマインドフルネスのやり方、
日常に取り入れるマインドフルネスについて、
などについてお話ししてきました。
ぜひ身構えずできるところから取り入れてみてもらえたらと思います。