自分が発達障害と判明して、まず気になるのが
「自分に向いている職業って何だろう??」
ということかと思います。
めちゃくちゃ残酷なように聞こえたら恐縮ですが、
答えをまずお伝えします…
「そんなもんありません」
「おいおい、じゃあ発達障害の人は働けないのかよ!」
となるかもしれませんが、待ってください。
発達障害の人の仕事における困り方一覧
適職についてお話しする前に、まず困り方を確認していきましょう。
- 同じような仕事に飽きてくる(ADHD)
- 事務所(職場)がうるさくて集中できない(ASD)
- マルチタスクが苦手(ASD/ADHD)
- 新人や新しい上司とウマが合わない(ASD/ADHD)
- 集合時間にどうしても間に合わない(ADHD)
- やった仕事がちゃんとできてるか不安で他の仕事が手につかない(ASD)
こんな困り方の中でどれか一つくらいは当てはまる事があるんじゃないかと思います。
でもこういった悩みや問題も、
自分の好きな仕事や『適職』であれば
楽しく働けて、吹き飛ばせるんじゃないだろうか・・
と一度や二度は考えたことがあるんじゃないでしょうか?
「好きなことを仕事にしよう」の罠
発達障害の人は好きなことには異常なほどの集中力を発揮します。
だから、好きなことを仕事にできればうまくいくんじゃないか?
と誰しもが思うはずです。
しかし、この考え方にはいくつかの穴があります。
- 誰だって自分のやってることを好きだと思いたい
- 好きなことを分解すると大体やりたく無いことも含まれている
- 自分が変化すると好きなことも移り変わっていく
- 本当に好きなのかどうかよくわからない場合がある
- そのことをよく知ると好きではない可能性が出てきた
などなど。
誰だって自分のやってることを好きだと思いたい
誰だって、今やっていることが「嫌いなこと」「やりたくないこと」
と思いながら実行したくないですよね。
空き缶を集めて回る仕事をしていたとしたら、
「空き缶を集めた後のビールが美味いから、
俺は空き缶を集めるのが天職にちがいない・・・」
と思って働いた方が、イヤイヤ空き缶を拾うよりは
ずっとストレスが少なくなるはずです。
好きなことを分解すると大体やりたく無いことも含まれている
例えば「歌を歌うこと」が好きだったとしましょう。
「歌をレコーディングする前の機材のセッティング」
はそんなに好きじゃない・・・みたいなことがあるはずです。
自分が変化すると好きなことも移り変わっていく
子どもの夢とかもそうですが、私なんかも
幼稚園では「パイロットになりたい」
と思ってましたし、小学生では「野球選手→サッカー選手」
中学生では「競馬の調教師」
高校では「ゲームプログラマー」
みたいな感じで成長や変化、付き合っている人たちにあわせて
やりたいことや好きなことも移り変わっていくはずです。
本当に好きなのかどうかよくわからない場合がある
長く同じことをやっていると飽きたり、また、好きなことをしていても
誰にも認められず不遇の時代が続いたりもします。
そんな時に「本当に好きなんだろうか・・・?」という
迷いが出てきてしまいます。
そのことをよく知ると好きではない可能性が出てきた
詳しくなるということは、そのことについて分からないことがわかってくること
という風にいう事があります。
『無知の知』と言いますが、本当に知識がある人は
「すごくいろんなことを知ってますね!」と言われた時に
「イヤイヤ…私が知っていることなど、ほんの一部に過ぎません」
と謙虚に振る舞うものです。
例えば、山登りについて特に詳しくない時に、山登って頂上で
おにぎりとか食べるの気持ちよさそうだな、きっとこれが私の好きなことだ!
と思って山登りを始めました。
しかし山登りを知れば知るほど命の危険と隣り合わせ、
準備や事前の調査、ガイドとの信頼関係などが大切になってくるし、
天候を読む力も必要だ・・・と山登りに詳しくなってきます。
その時にまだ好きでいられるのかどうか??
というのが問題になってきます。
発達障害の人が働く上での正しい考え方
好きなことを仕事にする、ではどうしても躓きがあることは
わかってもらえたでしょうか?
「そしたらどうしたらええんや!?」
という話かと思いますが、これは簡単です。
嫌なことをやらない
これに尽きます。
言い換えると、
『苦ではないこと』をやろう
ということです。
苦ではないこととは?
では、苦ではないこととはどういうことでしょうか?
意味としてはそのままで、
やっていても、やり続けてもしんどくならないこと
をやるようにする。
つまり、
やっていて、やり続けていてしんどいことをやめていこう
ということです。
ちょっとわかりにくいので説明を加えると、
例えば、カフェでの仕事であれば、
チョコレートパフェを作ったり、コーヒーを淹れたりするのは苦ではない。
でもレジ打ちはどうしても金額を間違えたりするし
接客も笑顔が引きつって、コーヒーをこぼした記憶がよみがえったりして
緊張してしまう・・・
だからキッチン(バーカウンター)内での仕事だけをさせてもらうようにする。
というような感じです。
『好きなことをやろう』だと、カフェでの仕事はレジ打ちもあるし
接客もあるから、選択肢に入ってこないところ…
『苦ではないことをやろう』だと、嫌なレジ打ちや接客を
避けてキッチン(バーカウンター)内での仕事ならできるじゃないか!
という発想に変わります。
真のオープン就労
上のように考えることで、選択肢が大きく広がってくるはずです。
オープン就労をしている人でも、嫌なこと・苦になる仕事をやって、
休んだり時間を減らしてもらったりする配慮をしてもらって
なんとか休み休みこなしている人たちが実際にいるのですが
それは果たして、本当の障害者(オープン)就労なのだろうか?
という疑問があります。
苦にならないキッチン(バーカウンター)内の仕事だけであれば、
すごいクオリティで料理や飲み物を作成できる発達障害の人が実際にいました。
そうやって凹凸の活かし方をうまく発揮できれば、
レジ打ちや接客を他の人に任せていても、お店やお客さんの役に立つことができます。
今自分の仕事を探している当事者の方や、保護者・支援者の方は
この記事のような『苦にならないこと』をやるという観点で
もう一度仕事を考え直してみてください。
きっと輝ける道が見えてくることと思います。
今回は以上です。
最後までお読みいただきありがとうございました。