発達障害の人は騙されやすい
というのはよく耳にしますよね。
騙されるというと、
人をはめようと企んでる悪い人がいて
その口車に惑わされて騙されてしまう
みたいなイメージがあるかもしれません。
しかし、そういう明らかな詐欺師とか悪人、犯罪者に
騙されるだけではなくて
普通のセールスマンとか、友達とか、惹かれている異性とかに
騙されることがあったりします。
では、
『相手はそもそも騙そうとしているのか?』
ということや
『なぜ騙されやすいのか?』
について、
特性を含めて解説していきたいと思います。
「騙される」の定義
騙されないと一言に言っても、
極悪人
みたいな『さぁ、相手を騙してやろう!しめしめ』
ともろに企んでる人もいれば
ただ、自分の利益のことを考えて相手を説得してくるだけの、
別に犯罪とかは犯していない普通の人
に「騙される」こともあります。
これは決して、被害妄想などではありません。
実際に、騙されたと感じるし、
その結果として
人間関係に
深刻なダメージ
を受けるからです。
恋愛でも、
「騙された!」とか思うことってありませんか?
こっちは結婚前提のお付き合いだと思ってたら
相手は全然そんなつもりなかった、とか。
でも、考えてみて欲しいのが
相手には果たして騙すつもりがあったのか?
ということなんです。
原因その①「相手もわかってくれているだろう」
一つ、ここで考えてみるべきだと思うのが
『ちゃんと相手に確認をとったのか?』
ということ。
この例で言えば、
「私と結婚する気はある?」
と相手に確認していない
のに、
「当然この年齢なら結婚を意識してるに違いない」
と自分が勝手に思い込んでいるだけかもしれません。
相手の立場になって考えてみると
「いやそんなこと一度も確認されてないけど??」
ということになるかもしれません。
ここで、参考になるのが
「サリー・アンの課題」
というものです。
これは
自閉症やアスペルガー(二つひっくるめてASD)
の診断に使われる問題ですが、
サリーは席を外していたため、
アンがバスケットの中身を移動させたことに
気づいていないはずなのですが
自閉症・アスペルガーの人は
「サリーもわかっているだろう」
と思ってしまいます(個人差あります)。
これって、さっきの恋愛のケースでの
「相手も私が結婚前提ということはわかってくれているだろう」
というのと、似てますよね。
相手の視点、立場から考えるというのは
脳の認知機能の1つであり、
自閉症・アスペルガー傾向の強い人は
この認知機能が欠けていたり、弱かったりするんですね。
その結果、相手に確認をしていないのに、
「相手もわかっているはずだ」
と思い込んでしまい、
勝手に
騙されたと思い込んでしまう
というわけです。
原因その②健常者は聞かれてないことを言わないから
もう一つ、よくトラブルに発展するケースがあります。
それが
「聞かれてないから言わなかった」
というやつです。
もちろんこの場合も、
相手は騙すつもりはありませんが
発達障害の人は騙されたと勘違いしてしまいやすいです。
実は、
健常者間のコミュニケーションでは、
聞かれていないことは答えない
というのが暗黙の了解としてあります。
なぜなら、聞かれていないことをペラペラと
喋ってしまうのは自分の不利になることを
本能的に理解しているからです。
(※発達障害の人たちは
この「本能」が欠けている
(≒社会性の欠如)のため、
聞かれてないことも
言ってしまうことがあります)
もし、一度でもどこかで
「このお付き合いって、結婚が前提だよね?」
とこちらからちゃんと聞いていたら、
相手は
「いや、結婚するつもりはないけど?」
と答えてくれていたかもしれません。
発達障害の人たちは、聞かれていないことでも
伝えておかないと!と思って
言う事が結構あります。
例えば、
婚活アプリなんかでプロフィールに
「私は障害持ちで手帳「B2」を所持しています」
と書いていたりします。
別に書いてもいいんですが、
聞かれていないのに自分のマイナスポイントを出すことで
卑屈にみられたりしてしまうので、
仲良くなってから然るべきタイミングで
カミングアウトする方がこういうサイトでは良いのですが、
『相手の不利になることは
予め言っておかないと相手に悪い』
と考えて、先に伝えてしまうのです。
健常者はこういうわざわざ自分の不利になる情報を
先に出すようなことはほとんどありません。
まぁこの辺りの後出しのコミュニケーション
についてもまた別の機会に解説したいですが、
今回は話がそれるので一旦、置いておきましょう。
原因その③ポジショントークが理解できない
騙された!と感じるパターンの一つで、
『ポジショントーク』
というものが原因になる場合もあります。
例えば、保険の営業マンは
自社の保険の不利な点を決して言いません。
原発反対派の人は原発の良いところを言いませんし、
原発推進派の人は原発の悪いところを伏せます。
健常者は基本的に「派閥」を作って所属しています。
自分たちの派閥に不利になるような行動は基本的にしません。
いくら相手が論理的に正しかったとしても、
決してそれを認めようとはしません。
なぜなら、相手が敵の派閥だからです。
そういう行動原理が人間には本能的に備わっているんです。
猿にもそういう集団を作ってボスを立てる、
という社会性が備わっていますが
人間も同じです。
でも私たち発達障害の人にはその本能が欠けており、
派閥や組織・集団同士で争っている感覚がありません。
だから、「ポジショントーク」
というものが理解できないのです。
「ポジショントーク」は
自分の派閥を優位にして、
相手の派閥を不利にするためのトーク
なのですが、
派閥意識がそもそもない、発達障害の人たちは
論理的に正しいか、正しくないか
ということを基準に判断しているため
「ポジショントーク」を相手がしていることを
認識できず、結果として
騙された
と感じてしまいます。
でも、健常者からしたら
「ポジショントーク」をして
当然だろう?逆にポジションに立って
話さないのは自分の派閥や組織に対する
裏切り行為じゃないか・・・
という感覚なのです。
この健常者と発達障害者の背景のちがいによって
騙された、騙されてない
の水掛け論がひたすら行われているのです。
どちらが正しいのか、
というのはここでは論じないですが
まぁこういうすれ違いが起こっているんだ
ということを理解しておくことは
有益だと思いますので、
考え方としてシェアしている次第です。
まとめ
今回は
発達障害の人がなぜ恋人や営業マンに騙されてしまいやすいのか?
ということの原因を3つ・・・
①相手が自分と同じ認識だと思い込む
②健常者は聞かれてないことは言わない
③健常者のポジショントーク
について解説しました。
騙された、と捉えてしまうと
人間不信になってコミュニケーションが億劫になって言ってしまいます。
この記事を参考に、
相手に本当に騙す気があったのか?
ということを今一度問い直し、
コミュニケーションへのモチベーションを回復
してもらえたなら作成した甲斐があるというものです。
今回は以上です!
最後までお読みいただきありがとうございました!